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[イワクニ 地域と米軍基地] 騒音回数1日200回 最多  苦情176件

FCLP影響か

 米軍岩国基地(岩国市)南側の尾津町で8日に測定された騒音回数は200回に上り、2010年の滑走路の沖合移設後、1日当たりで最多となったことが市のまとめで分かった。同日、市に寄せられた苦情件数もここ20年での1日分の最多を更新した。米海軍の空母艦載機が東京・硫黄島で実施している陸上空母離着陸訓練(FCLP)に関連した運用の影響とみられ、騒音被害が拡大している。

 市は市内5カ所に騒音測定器を設置。8日は、基地北側の川口町でも滑走路移設後で最多の139回を記録した。中国新聞は同日、厚木基地(神奈川県)から岩国に移転した艦載機が、滑走路に着陸直後に再び離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を繰り返す様子を確認した。

 航空機騒音などに関する市民からの苦情は8日だけで176件。岩国で夜間を含むFCLPがあった1998年1月当時を除けば1日当たり過去最多となった。

 艦載機は、3日から13日までの日程で移転後初のFCLPを実施。その後、パイロットが空母への着艦資格を得る訓練(CQ)が九州沖で行われる。

 基地監視団体リムピース共同代表で、厚木基地の艦載機の運用を調べてきた金子豊貴男・相模原市議によると、FCLPの際、艦載機は数グループに分かれて硫黄島へ向かう。厚木では残った部隊が事前訓練をし、硫黄島から戻った部隊もCQに向けて技量を保つ訓練を重ねていたという。

 金子市議は「FCLP期間中やその前後、厚木周辺は絶えずうるさかった。岩国も同じ状況だろう」と指摘する。尾津町の騒音回数は9日も125回で、今月では8日に次ぐ多さだった。

 岩国市は8日、騒音を軽減するよう基地に要請するとともに、特別な訓練をしていないか照会した。中国新聞も、FCLPと関連した訓練をしているかどうか米海軍に問い合わせているが、いずれも10日夕時点で回答はない。(松本恭治)

(2018年5月11日朝刊掲載)

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