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逓信病院 旧外来棟寄付 日本郵政、広島市に来月

 広島市は26日、同市中区東白島町の被爆建物の広島逓信病院旧外来棟について、保有する日本郵政から寄付を受けると発表した。寄付は7月1日付。日本郵政側が確実に保存し、被爆の記憶の継承に役立ててもらおうと市に持ちかけた。旧外来棟の一部は被爆資料室となっており、市は寄付を受けた後も、これまで同様の公開を続ける。

 旧外来棟は、日本武道館(東京)などを手掛けた建築家の山田守氏の設計で1935年に完成し、鉄筋2階建て延べ約680平方メートル。爆心地から北東約1・4キロにあり、爆風で窓ガラスが吹き飛んだが倒壊を免れ、多くの被爆者が治療を受けた。

 95年、当時の中国郵政局が被爆資料室を開設し、希望者に無料で公開。被爆しながら当時の院長として救護に当たり、著書「ヒロシマ日記」で惨状を世界に伝えた故蜂谷道彦さんの関連資料なども紹介してきた。日本郵政によると、年間約千人が訪れている。

 日本郵政病院管理部は「2015年の株式上場を契機に、後世へ保存するには行政に託すのが適当と判断した」と説明。市平和推進課は「被爆建物の保存の観点でありがたい。被爆の実態を伝えるため引き続き公開していく」とする。

 6月29日に感謝状贈呈式を開く。見学はこれまで通り午前9時~午後4時(土、日曜と祝日休館)で7月1日からは市平和推進課で事前予約を受け付ける。同課☎082(242)7831。(水川恭輔)

(2018年6月27日朝刊掲載)

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