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被爆者団体 相次ぎ解散 益田が6月 安来は3月

 島根県益田市と安来市の被爆者団体が今年に入って相次ぎ解散していたことが11日、分かった。いずれも会員が老い、組織の運営が難しくなったため。あの日の記憶を伝え、核兵器の廃絶を訴える被爆者運動の次代への継承が県内でも急務だ。

 益田市原爆被爆者之会は今春、会員約80人に会の存廃を問うはがきを郵送。返事があった61人のうち、約6割の35人が解散に賛同し、6月17日の総会で解散を決めた。

 会は1965年ごろに発足。ピーク時は約250人が参加し、市内の学校で証言活動をしたり写真展を開いたりしてきた。現在は会員の大半が90歳前後。数年前から、被爆2世を含めて役員の担い手を探していたが、見つからなかったという。

 解散まで約10年会長を務めた新田萬市さん(90)は「心残りもあり、活動を続けたかった。残念だ」と語る。

 安来市原爆被爆者協議会は3月末で解散した。会長だった松本正巳さん(87)が体調を崩し、後任を探したが誰も引き受けなかったという。会員は約30人だった。松本さんは「それぞれ国の援護をしっかり受けてもらいたい」と念を押す。

 県によると、昨年度末時点で県内の被爆者健康手帳所持者は918人。10年で半減し、千人を切った。平均年齢は87・40歳で、全国平均を5歳上回る。

 地域の被爆者団体で活動実態があるのは松江、出雲、雲南3市だけとなった。県原爆被爆者協議会の原美男会長(91)は「解散した地域の被爆者にも声を掛け、生きている限り、核兵器廃絶を訴える」と話している。(根石大輔、岡田浩平)

(2018年7月12日朝刊掲載)

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