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北朝鮮被爆者51人死亡 連絡会発表 10年間で1割強

 原水禁国民会議などでつくる在朝被爆者支援連絡会は26日、2008年に確認された北朝鮮で暮らす被爆者382人のうち、少なくとも1割強に当たる51人が死亡していたと発表した。現地の朝鮮被爆者協会による追跡調査の中間報告で、連絡会メンバーが今月中旬に訪朝して聞き取った。連絡会は、早急な医療支援を日本政府に要請する。

 訪朝した広島県原水禁の金子哲夫代表委員が広島市役所で記者会見し、明らかにした。今春、朝鮮被爆者協会の打診を受け、10~14日に訪朝。朴文淑(パク・ムンスク)副会長らと面会した。

 金子氏によると、協会側は、08年発表の実態調査で生存を確認した382人の追跡調査を今年1月に開始。5月までに111人の状況が判明し、うち生存者は60人と説明したという。調査は継続中。協会の調査は今回で3回目。

 また、協会側は「循環器系の病気や白血病、白内障が多発している」などと訴え、日本からの医療器具や医薬品の提供などの支援を求めていたという。

 被爆者援護法は国籍に関係なく医療費補助などを定めるが、日朝間に国交がなく受給は事実上困難になっている。日本政府は01年、初の調査代表団を北朝鮮に派遣し、在朝被爆者の支援を検討したが、近年大きな動きはない。

 会見に同席した広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖(キム・ジノ)理事長は「朝米のトップが対話を決断した今、日本政府も早期に人道的支援をしてほしい」と訴えた。(水川恭輔)

(2018年7月27日朝刊掲載)

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