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朝鮮半島非核化など討議 9ヵ国から軍縮・外交専門家 ひろしまラウンドテーブル開幕

 東アジアの核軍縮の道筋を探る会議「ひろしまラウンドテーブル」が22日、広島市南区のホテルで始まった。日本、中国、韓国、米国、ロシアなど9カ国から、軍縮や外交の専門家たち計23人が参加。6月にシンガポールであった史上初の米朝首脳会談などを踏まえ、朝鮮半島の非核化を軸に2日間、意見を交わす。

 主催する広島県の湯崎英彦知事はあいさつで、米朝首脳が合意した朝鮮半島の完全な非核化が、北朝鮮の核・ミサイルの廃棄につながるかを見定める必要があると指摘。「朝鮮半島の非核化と東アジアの核軍縮に向けた道筋と方策を明らかにしよう」と呼び掛けた。

 続いて、参加者5人が研究成果を発表した。議長を務める東京大大学院教授の藤原帰一氏(国際政治学)は、核兵器禁止条約に批准する国の数が伸び悩んでいる実態などを踏まえて「核不拡散を含めて、安全保障を巡る環境は非常に厳しい」との見方を示した。

 元国連事務次長の阿部信泰氏は、北朝鮮の核放棄の実現には「何らかの見返りを与えるなどの方策が有効」と主張。英国の王立国際問題研究所(チャタムハウス)シニアリサーチフェローのベイザ・ウナル氏は「核抑止に基づく安全保障戦略は、果たして今も有効なのか」と問い掛けた。

 参加者はその後、「朝鮮半島の非核化」「核抑止に頼らない安全保障」の二つのテーマに分かれて、非公開で意見を交わした。23日も非公開で討議した後、成果を議長声明として公表。来年春に米ニューヨークで開かれる予定の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会に提出する。

 ラウンドテーブルは、核兵器廃絶や平和復興で広島が果たすべき役割を提言する県の「国際平和拠点ひろしま構想」の一環で、2013年から毎年、開かれている。(教蓮孝匡)

(2018年8月23日朝刊掲載)

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