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「一審判決不当」原告11人が訴え 原爆症訴訟控訴審

 被爆の影響で心筋梗塞などを発症したのに原爆症と認めないのは不当として、原爆症の認定申請の却下処分の取り消しを国に求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が29日、広島高裁であった。広島市で被爆した原告11人が請求を棄却した一審広島地裁判決の不当性を訴え、国側は控訴棄却を求めた。

 原告側は控訴理由書で、放射線が人体に与える影響が科学的に未解明である点を地裁判決は考慮していないと主張。被爆と甲状腺機能低下症の関連性などを一審で否定された原告の佐々木シズエさん(88)=廿日市市=が意見陳述し「被爆直後は髪の毛がほとんど抜け落ち、その後もめまいや貧血に悩まされている。被爆者の声にきちんと耳を傾け被爆の実相を踏まえた適正な判断を」などと訴えた。

 国側は「被爆の程度や疾病との関連性の有無に加え、具体的な症状、病歴も踏まえて判断した地裁判決は正当」などと反論した。

 地裁判決は昨年11月、2013年末に国が見直した新たな審査基準などを基に、原告12人の疾病と被爆との関連性や治療の必要性を検討。疾病を起こす線量の被爆をしていない▽発熱、下痢などの急性症状が認められない―などとして全員の請求を棄却した。12人のうち、11人が控訴していた。

(2018年8月30日朝刊掲載)

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