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ズームやまぐち 地上イージス 何を調査 12日の開札を前に整理

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場(萩市)への配備計画を巡り、地元首長たちが相次いで現地調査の受け入れを表明した。国は本年度中に調査を終え「適地」かどうかを判断する見通し。施設配置などの基本設計も併せて進める予定だ。12日の入札開札を前に、調査の概要や住民側の疑問点を整理した=3面関連。(和多正憲)

電波環境調査

レーダー照射 影響は

 イージス・アショアは、弾道ミサイルを探知するために上空へレーダーを照射する。住民からはこのレーダーが発する電磁波を不安視する声が強い。国は「至近距離でない限り人体に影響を与える可能性は低い」とする。

 電波環境調査では、演習場周辺の公共施設や住宅などの位置関係を確認。電波測定を実施し、人体や無線機器、ドクターヘリなどの航空機への影響を調べる。有識者による説明も予定。ただ、具体的なレーダー出力などは「特別防衛秘密」として明かしていない。

地質・測量調査

水源や農畜産物 工事の被害不安

 演習場周辺は農村地域のため、工事による水源や農畜産物への被害を懸念する住民も多い。国は地盤の強度や地質を調べるボーリング調査の開始前に、河川や地下水、井戸の現状を把握。調査前後で水源への影響がないかを確認する。

 また航空測量も実施し、地形や標高も調べる。

基本設計

ミサイル発射 落下物に懸念

 現地調査を踏まえ、実際に演習場内に装備や施設が収まるかを検討する配置案も作る。レーダー1基▽ミサイルの垂直発射装置3基▽ミサイル格納庫▽庁舎と居住する隊舎▽警護所―などを配置。外柵に加え、レーダーと発射装置は内壁で囲む。演習場の敷地は約198ヘクタール。国は100ヘクタール以上あれば「電磁波や発射の噴煙、衝撃が敷地外に影響を与えないよう配置できる」と説明する。

 一方、住民側からはミサイル発射に伴う落下物を心配する声も。ミサイルは3段式で、発射直後に1段目のブースター(重さ約200キロ)が切り離される。国は「演習場内に落とすことが可能。住民に影響が出ないようにする」としている。

(2018年9月5日朝刊掲載)

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