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連載・特集

地上イージス 二つの候補地 <4> 秋田・新屋演習場

不信抱く首長

安全確保 国と平行線

 「住宅地のそばに整備することに無理がある。その無理をどう解決するのか」  佐竹敬久秋田県知事は8月27日、説明に訪れた防衛省側に対決姿勢で保安距離の確保策を問いただし「納得する距離が取れない場合は(配備を)諦めてください」と迫った。

 深沢雅貴大臣官房審議官は同日、陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)が配備候補地の地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の全体構想を初めて示した。

 説明によると、レーダーと指揮統制所、迎撃ミサイルの垂直発射装置3基、ミサイルと格納庫、隊員約200人が勤務する庁舎と居住する隊舎、警衛所などを配置する。

保安距離が焦点

 今回の説明で焦点となったのが保安距離の確保。防衛省が現地で実施する測量と地質、電波環境の各調査後に設定する。同省は、計算上では新屋演習場の敷地内で確保できる見通しだとする。

 しかし佐竹知事はテロ攻撃を念頭に、保安距離は施設から700メートル程度は必要だと主張。敷地の狭い新屋演習場では十分な距離の確保が困難とみる。

 システムを集約配置するイージス艦とは異なり、地上型の場合、既に配備されている海外ではレーダーとミサイル発射装置を分散配置している。この点を突き佐竹知事は「(敷地を)広く使う状況で整備せざるを得ない。保安距離をどう確保するのか難しい課題だ」と投げ返した。

 国の防衛力整備については「増強論者」を自認する佐竹知事も現時点では新屋演習場への配備は難しいと考える。一方で穂積志(もとむ)秋田市長は配備の賛否を保留しているが、8月30日の定例記者会見では「安全安心に結び付く措置が示されない限り、いいと言えない」と否定的な見方を示した。

 イージス・アショアの配備は製造者の米国側と契約後6年を要するとされ、当初運用開始を目指した2023年度から遅れる可能性が高い。同省は、配備地が未定であることを理由に来年度は造成工事を行わないと決めている。

「思いの差痛感」

 候補地が「不適」となった場合に備え、同省は現地調査と並行して所管外の国有地も検討する方針を新たに示した。地元感情を背景に穂積市長が「現地調査前に検討すべきだ」と訴えたが、時間がかかることを理由に手順を譲らなかった。

 遅れている現地調査に着手し、年度内にも「適、不適」を判断したい防衛省に対し、穂積市長は「われわれとの思いの差を改めて感じた」と不信を募らせる。(渡辺晋輔)=おわり

保安距離
 一般には危険物や爆発物が発火・爆発した場合に被害が及ぶ範囲を言う。イージス・アショアでは防衛省はレーダーとミサイル発射装置の配置について、周囲に影響を与えないよう十分な保安距離を確保すると説明している。

中国新聞・河北新報合同連載

(2018年9月8日朝刊掲載)

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