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原爆関連写真2300点収集 爆心地近くの救護所/焼け跡… 米・NZで資料館

 原爆資料館(広島市中区)は10日、原爆に関する約2300点の写真を米国とニュージーランドの計6機関から収集したと発表した。爆心地近くの本川国民学校(現中区の本川小)内の救護所や、校舎が壊滅して廃校となった大手町国民学校跡などの写真に、これまで同館になかったカットが含まれていた。被爆の実態の発信に生かす。(水川恭輔)

 6機関は、米国の米科学アカデミー、シカゴ大図書館、マッカーサー記念館、米海兵隊歴史部と、ニュージーランドにあるオークランド戦争記念博物館、アレクサンダー・ターンブル図書館。資料館の職員が昨秋に現地で計約2300点を接写し、同館にないカットについて高精細のデータ入手を進めている。

 この日は、32点を報道機関に公開。本川国民学校の写真は、校舎内の救護所に多くの被爆者が収容されている様子が分かる。原爆投下翌日に開設され、川本俊雄さんが1945年8月に撮影したとみられる。同館がこれまで確認していた同校内の救護所の写真は別の1点だけで、貴重という。

 爆心地から約1・1キロ南で木造校舎が全壊全焼した大手町国民学校の跡のカットは、被爆後、門柱に付けられた「大手町国民学校仮事務所」の看板も写る。広島原爆戦災誌によると、同校児童は35人が被爆死し、181人が行方不明・連絡不能となった。廃校となって資料が少なく、看板によって同校跡と明確に確認できる写真は初めてという。

 ほかに、被爆翌年の縮景園(現中区)や「戦災供養盆踊り大会」の会場一帯を撮影した写真なども入手した。資料館学芸課は「企画展などで展示し、原爆に奪われたものを市民に想像してもらいたい」としている。

(2018年10月11日朝刊掲載)

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