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被爆地広島 抗議相次ぐ 米の臨界前核実験 監視時計リセット

 米国が爆発を伴わない臨界前核実験を昨年12月に実施していたことを受け、被爆地広島では11日、トランプ政権に対し、座り込みや自治体による抗議文の送付などの動きが相次いだ。原爆資料館(広島市中区)は、「最後の核実験からの日数」を表示する地球平和監視時計をリセットした。

 広島県被団協(坪井直理事長)や連合広島など12団体でつくる核兵器廃絶広島平和連絡会議は、中区の原爆慰霊碑前で座り込みをした。88人が小雨の中で「すべての核実験に強く抗議する」などと書いた横断幕を掲げた。県被団協の箕牧(みまき)智之副理事長(76)は「トランプ氏は世界がどうなってもいいと思っているのか。また地球上で核被害者が生まれかねない」と憤った。

 原爆資料館の東館1階では、「403」だった時計を、米国が実験をした昨年12月13日から数えた「302」に変えた。リセットは2017年9月3日の北朝鮮による実験以来で、25回目。操作した志賀賢治館長は「核兵器を使うとどうなるか、館として訴え続けるほかない」とした。

 トランプ大統領宛ての抗議文で、広島市の松井一実市長は「被爆者を始め核兵器廃絶を求める人々の願いに背く行為で、断じて許せない」とし、今後の全ての核実験の中止を求めた。広島県の湯崎英彦知事は、トランプ氏に広島訪問を求め「核兵器による徹底した破壊の現実を理解し、廃絶への決意を固めてほしい」と書き送った。平和首長会議、広島市議会なども抗議文を送った。(明知隼二)

(2018年10月12日朝刊掲載)

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