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谷本清平和賞 森滝さん受賞 核禁条約制定 ICANと機運醸成

 公益財団法人ヒロシマ・ピース・センター(広島市佐伯区、鶴衛理事長)は11日、第30回谷本清平和賞に市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の森滝春子共同代表(79)=同区=を選んだと発表した。被爆者の父故森滝市郎さんの遺志を受け継いで広島から反核平和運動を続け、昨年の国連での核兵器禁止条約制定に貢献した功績を評価した。

 森滝さんは広島市出身。1996年に勤務先の中学校をがんのため退職後、核実験を強行していたインド、パキスタンの若者を広島へ平和学習に招く活動を始めた。

 HANWAは2001年に結成。昨年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))と連携し、核兵器禁止条約制定を国内外で訴えた。条約推進のために二つの広島県被団協などの被爆地の反核団体が参加した「ヒロシマ緊急共同行動」の事務局長を務め、市民集会などを通じて機運を高めた。

 ほかに劣化ウラン弾の禁止の訴えなどにも力を入れてきた。森滝さんは「私個人よりも市民の草の根の反核運動に光が当たり、若者たちの後押しになってほしい」と話している。授賞式は11月11日に市内である。

 同賞は、被爆者支援に尽くした広島流川教会(中区)の故谷本清牧師の遺志を継ぎ、87年に創設した。「核と人類は共存できない」と訴えて原水禁運動の先頭に立った市郎さんも91年に受賞している。(水川恭輔)

(2018年10月12日朝刊掲載)

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