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樹木が語る被爆の爪痕 広島市中区で巡る催し

 樹木医の案内で被爆樹木を巡る催しが4日、広島市中区であった。約30人が参加し、原爆投下後の焦土から生き抜いてきた木々の力強さに思いをはせた。

 平和記念公園から広島城周辺までの約3キロを約2時間かけて歩き、8カ所の計12本を見学した。案内役の樹木医の堀口力さん(73)=西区=が、こぶが増えたり、成長が遅かったりといった被爆樹木の特徴を説明した。

 基町の市営住宅駐車場では、被爆後の火災で傷が残るクスノキと向き合った。堀口さんは「爆心地側よりも、反対側の枝や根が発達している」と指摘した。

 催しは、中国四国博報堂(中区)と中国新聞社の共同企画「緑の伝言プロジェクト」の一環。参加した熊野町の恵美勇作さん(76)は「木々は原爆の被害を伝える語り部のような存在。長生きしてよ、と心の中で声を掛けながら巡った」と話していた。(桑田勇樹)

(2018年11月5日朝刊掲載)

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