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被爆者の歩み 東京で研究 昭和女子大有志 4ヵ年計画 現時点の成果 10、11日報告

 昭和女子大(東京都世田谷区)の学生有志が、広島、長崎の被爆者の歩みをテーマにした研究に取り組んでいる。本年度からの4カ年計画で、最終の2021年度に学内の博物館で総仕上げの企画展を開く予定でいる。今月10、11の両日にある文化祭で、現時点の成果を報告する。

 有志は、同大の松田忍准教授(42)=日本近現代史=の呼び掛けに応じた1~3年の12人。東京を拠点とするNPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会の協力で、同会が収集した被爆者運動の資料を読むことから始めた。

 さらに、運動の中心となってきた被爆者や支援者6人を選び、手記や関連の新聞記事を読み込んだり、存命の人から直接聞き取りをしたりした。文化祭では、この6人の人生や学生の気付きをまとめたパネルを展示する。

 松田准教授は13年から、指導する学生と共に同会の資料整理を手伝ってきた。「学生に歴史的分析もさせたい」と同会に提案し、快諾を得たという。

 学生は首都圏出身者ばかり。埼玉県で生まれ育った3年吉村知華(ちはる)さん(21)は「原爆の怖さを知ることになると思うと最初は資料を見るのも勇気が要った。でも被爆者の思いに触れて、もっと知り、誰かに伝えたいとの気持ちになった」と明かす。

 千葉県出身で、被爆者の聞き取りをした3年小方愛可(まなか)さん(21)も「原爆投下を昔話にしないで、との言葉が胸に響いた。展示を見た人にも、自分の問題として考えてもらえれば」と願っている。(田中美千子)

(2018年11月6日朝刊掲載)

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