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空中給油 相次ぐ事故 高度な技術が必要 専門家は危険性指摘

 6日未明に墜落した米軍機2機は夜間の空中給油訓練のため飛行中だった。近距離で機体同士をホースでつなぐ空中給油は高度な技術が求められ、過去にも輸送機オスプレイが訓練中に大破。岩国基地所属の米海軍の空母艦載機でもトラブルが発生するなど、専門家が危険性を指摘していた。(和多正憲)

 空中給油機は燃料補給の役割を担い、戦闘機などの長距離飛行を可能とする。補給する機体の前方を飛び、後方へホースを延ばし受油パイプに結合する。軍事評論家の稲垣治氏は「速度や距離を一定に保つため、技術維持の訓練が欠かせない」と説明する。

 空中給油中の過去の事故では2016年12月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のオスプレイが訓練中、ホースとプロペラが接触して破損。沖縄県名護市沖に不時着し大破した。今年5月には岩国基地所属の空母艦載機1機でホースの先端部品が受油パイプ口から外れず、事故を防ぐために「予防着陸」している。

 今回墜落した米海兵隊のKC130空中給油機は、沖縄の負担軽減を目的とした日米特別行動委員会(SACO)合意に基づき、米軍再編計画に明記されている。岩国市などが13年に受け入れを表明し普天間から岩国へ計15機が移転した。

 さらに墜落事故は、米海軍厚木基地(神奈川県)からの艦載機移転に伴い、四国沖に新たに設けられた訓練空域で発生。米側は今月1日、夜間の運用時間外に航空機が離着陸する可能性も市側に連絡していた。

 稲垣氏は「岩国は海兵隊唯一の空中給油機の配備先。夜間や悪天候時は特に高い技術が必要なため今後も訓練空域での給油訓練は続くだろう」と指摘している。

(2018年12月7日朝刊掲載)

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