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「黒い雨」地域 指定根拠説明 広島地裁で被告側

 広島への原爆投下後に「黒い雨」を浴びたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの男女計88人が市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が16日、広島地裁であった。「小雨地域」で黒い雨を浴びた原告が国の援護策を受けられない根拠について被告側が説明した。

 国は、市中心部の爆心地から市北西部にかけての「大雨地域」(長さ約19キロ、幅約11キロ)で雨を浴びた住民たちに第1種健康診断受診者証を交付し、無料で健康診断を実施。がんや糖尿病など特定の病気になった場合は被爆者健康手帳に切り替え、医療費を無料にするなどの援護策を講じる。一方で、大雨区域から外れると、周辺の小雨地域でも援護が受けられない。

 高島義行裁判長は、原告が黒い雨を浴びた小雨地域と大雨地域で異なる取り扱いをする根拠を示すよう被告側に求めた。被告側は、大雨地域を含め、黒い雨の降雨地域で放射線による健康被害が生じたと考えることは困難とした上で「被爆者援護の観点から大雨地域に限って援護対象区域に指定した」などと述べた。

(2019年1月17日朝刊掲載)

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