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避難計画なく再稼働「不当」 伊方原発訴訟で原告

 広島の被爆者たちが四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた訴訟の口頭弁論が13日、広島地裁であった。原告側は、原発事故に備えた広島県や広島市の避難計画がないまま再稼働したことの不当性などを訴えた。

 原告側は準備書面で、原子力規制委員会は原発から30キロ圏内の自治体にしか計画の策定を義務付けておらず、30キロ圏外の県と市には計画がないと指摘。南海トラフ巨大地震が起きれば市中心部のほぼ全域で液状化現象が起き、同原発から放出される放射性物質から逃れることは難しいとした上で「実現可能で防護効果の高い避難計画を持たない伊方原発の運転は即座に差し止めるべきだ」と訴えた。

 昨年11月に追加提訴した原告30人も併合して審理され、東日本大震災後に家族4人で千葉県から高松市に移住した介護士久保山康代さん(46)が意見を陳述。「伊方原発が事故を起こしたらまた家族で逃げることになる。住民を被曝(ひばく)から守る手段を持たない原発は存在してはならない」と訴えた。

(2019年2月14日朝刊掲載)

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