×

ニュース

民意の尊重求める声 岩国 「工事阻止困難」見方も

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る県民投票で「反対」が7割を超えたのを受け、米軍岩国基地を抱える岩国市では政府に民意の尊重を求める声が上がった。一方、政府は移設方針を堅持する見通しで「工事を止めるのは難しい」との受け止めも聞かれた。

 「これ以上の負担は耐えられないとの沖縄県民の気持ちの表れ。民意の得られない政策に正当性はなく、移設先の代案を考えるのが政府の責任だ」。井原勝介前岩国市長(68)は訴える。

 井原氏は空母艦載機の岩国移転に反対を貫き、2006年3月に住民投票で民意を問うた。「強行すればするほど沖縄県民の反発は強まり、結果的に基地の円滑運用や防衛政策に支障が出る」と警鐘を鳴らす。元市議で基地監視団体リムピースの田村順玄共同代表(73)は「政府には逆風。沖縄への締め付けを強めるだろう」と厳しい見方を示す。

 一方、基地北側の同市昭和町に暮らす清水栄寿さん(66)は「移設反対の人は投票に行くだろうから結果は予想通りという感じ。日本だけで国防は賄えないし、既に始まった工事を止めるのは難しいのでは」と淡々と語った。

 同市の福田良彦市長は市議会定例会で県民投票について問われ「同じ基地を抱える自治体として注視していた。多方面から分析したい」と答弁。山口県の村岡嗣政知事も報道陣に「沖縄の負担軽減については国全体で取り組まないといけない課題だ」と述べた。

(2019年2月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ