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医療費制度を改善 現地団体、知事に感謝 ブラジル被爆者が15年要望

 ブラジルに住む被爆者の医療費の支給制度が改善された。これまでは医療機関を受診した場合、窓口でいったん自己負担分を立て替える必要があったが、被爆者が多く住むサンパウロ市の3医療機関では不要となった。現地の被爆者団体のメンバーたちが10日、県庁に湯崎英彦知事を訪ね、働き掛けなどに感謝した。

 訪問したのは、ブラジルの被爆者83人でつくるブラジル被爆者平和協会の盆子原国彦副会長(78)と渡辺淳子理事(76)。盆子原さんは森田隆会長(95)から預かった感謝状を代読し、「日本と同じように治療が受けられるのは心の支えで大きな喜び」と感謝を伝えた。

 被爆者は国内で国の指定病院を受診した場合、窓口での自己負担がない。海外に住む人も2016年1月から医療費の支援対象となったが、窓口で立て替えた後、領収書などを添えて県に請求する必要があった。

 サンパウロ市の3医療機関では今月1日から、ブラジルに住む被爆者が事前に手続きをすれば、窓口負担がなくなった。各医療機関が後日、被爆者に代わって県に請求する。盆子原さんは「申請手続きが煩雑で、請求を断念する被爆者も多かった。協会の念願がかなった」と喜んだ。11日には広島市役所を訪れる。

 湯崎知事は15年10月にブラジルを訪れた際、協会から医療費の負担をなくすよう要望を受け、医療機関や国などに実現を働き掛けてきた。「時間はかかったが便利になった。ぜひ活用してほしい」と応じた。(樋口浩二)

(2019年4月11日朝刊掲載)

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