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変わる街 広島駅南口Bブロック 被爆の「証人」また姿消す

 広島市南区のJR広島駅南口Bブロック市街地再開発事業で11日、被爆建物の旧住友銀行東松原支店の取り壊しが始まった。原爆の爪痕を残す建物がまた一つ、姿を消す。(加納亜弥)

 大正期の1921年に建てられた。爆心地から1・9キロ。重厚なれんが造りでアーチ状の装飾が特徴だった。被爆に耐え、銀行が支店を新築移転した59年から2009年までは衣料卸店の倉庫や呉服卸店として使われた。この日の解体工事で重機が壁を砕くと、れんがが次々に崩れた。

 爆風で湾曲した西側の鉄扉2組(4枚)は建物解体を前に、今月4日に取り外した。事業主体の再開発組合は、4月着工する10階建ての再開発ビルの1階外壁にモニュメントとして据え付ける。

 旧支店の向かいにあるマスヤカメラの2代目店主増本光雄さん(71)は「カメラ好きの行員さんがいて、よく店を訪ねてくれた」と振り返る。「ここに高層ビルができるなんて時代の流れを感じる」

 再開発事業は1・4ヘクタールの約60棟を解体後、住宅や家電量販店が入る52階建て西棟、駐車場や店舗などの10階建て東棟を建設。16年3月の完成を目指す。

 市は爆心地から5キロ以内で被爆した建物を登録する。残るのは公共機関と民間所有の計87施設となった。

(2013年3月12日朝刊掲載)

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