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大震災避難者 交流5年 アスチカ 西区の拠点「たねまく広場」

悩み分かつ場 15日まで記念行事

 東日本大震災を機に県内へ避難した人たちでつくる「ひろしま避難者の会アスチカ」の交流拠点「たねまく広場」(広島市西区三篠町)が、開設5周年を迎えた。会員が悩みを分かち合う場として定着した。節目に合わせた記念行事を15日まで開く。(石井雄一)

 広場はJR横川駅近くのビル1階。約60平方メートルのスペースに東北地方の情報誌などが並ぶ。記念行事初日の10日は、スタッフや会員たち7人がテーブルを囲み、震災直後から近況までを語り合った。

 宮城県から移り住んだ南区の鈴木えりこさん(49)は、今春になって広場に通うようになった。「これまでは生活で精いっぱい。今だから話せることもある。こういう場があるだけで安心感が違う」と明かした。

 広場は週4~5日開放。相談窓口や月1回の交流会で避難者の悩みや不安に寄り添ってきた。地元住民による料理教室、野菜の販売など、地域と触れ合う場づくりにも随時取り組む。2014年6月の開設以来、延べ5千人が利用した。

 アスチカの会員は現在、102世帯331人。3月にまとめた会員世帯対象のアンケートでは、回答者の3割超が今後の生活拠点を「決めていない」と答えた。広島での生活基盤が固まる一方で、地元に残る親の健康問題なども抱え、「迷い」を深める会員の実態が浮かんだ。

 代表の三浦綾さん(46)=安芸区=は「震災10年の区切りも控え、会員の状況をよりきめ細かく聞き取り、地域と連携した支援につなげていきたい」と話す。

 記念行事は15日まで毎日開く。12日午後1時半から、広島共立病院の医師を招き、トークと甲状腺エコー検査体験▽13日午前10時半から、福島県から庄原市に移り住み、牧場を営む会員たちを囲む「カタリバ」―などがある。

(2019年6月11日朝刊掲載)

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