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海田高前身の校旗戻る 米から「贈り物」平和学習に活用

 海田高(広島県海田町)の前身、海田高等女学校(1942~48年)の当時の校旗が6月下旬、米カンザス州のボナー・スプリングス・シティー図書館から同校に届いた。戦後、米国に渡ったとみられる。同館は数年前に持ち込まれたことを受け、元の持ち主を調べ、「日米の友好の印」として返却を決めた。8月6日の広島原爆の日を前に届いた突然の「贈り物」に同校は感謝し、生徒の平和学習に役立てる。

 校旗は6月25日、段ボール箱に入って届いた。布製で縦70センチ、横100センチ。濃紺の下地の端に校名があり、中央に桜の花びらをかたどった校章を配している。目立った傷はなく、丁寧に保管されていたことをうかがわせる。

 ジャック・グラナス館長(52)名の日本語の手紙も添えられ、「最近、旗を受け取った。海田高の歴史の一部である旗を返したい」と記されていた。

 海田町史によると、戦後間もなく同町に連合軍の進駐部隊が分駐し、1945(昭和20)年11月に町内の公会堂で日米協会の発会式があった。海田高は、交流が進む中で校旗が米国に渡った可能性もあると推察している。

 グラナス館長は中国新聞の取材に、校旗は2016~18年の間に図書館に寄贈され、寄贈者や経緯は不明だと説明。司書が調べたところ、広島の学校で使われていたことが分かり、返却を決めたという。「平和の尊さと戦争の悲惨さを伝えるきっかけになることをうれしく思う」としている。

 海田高では、19日の終業式で生徒に校旗を見せて経緯を話す。校内での展示も検討する。冨永六郎校長は「善意に感謝したい。原爆で教員と生徒が亡くなった。生徒が町の歴史、平和の大切さを知り、考える教材として活用したい」としている。(鴻池尚、東海右佐衛門直柄)

(2019年7月17日朝刊掲載)

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