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平和研の移転決定 広島市立大 拠点構想で

 広島市中区の広島大本部跡地にある被爆建物、旧理学部1号館に新たな平和研究拠点をつくる構想で、市立大(安佐南区)は30日、理事会を開き、同大の広島平和研究所の移転を正式に決定した。広島大は既に同大平和センター(中区)の移転を決めており、相乗効果による平和研究や発信力の強化を目指す。

 理事たち8人が出席した。昨年11月に市から移転を要請された経緯や、「世界平和の創造・維持に貢献する」など同研究所の基本方針を改めて確認。4月に設置した大学院平和学研究科とともに1号館に移転し、平和に関する「教育、研究、発信にともに取り組む」との市への回答を正式に承認した。

 理事からは「両大学が一緒でも、中身がばらばらでは相乗効果は得られない」など、新たな拠点で教員の人事を含めた一体的な運営を求める意見が出た。

 理事会後、若林真一学長は報道陣に対し「広島大には医学や教育学などの専門家がいる。平和の研究、教育、発信の各分野で幅を広げていきたい」と期待感を述べた。県内の他大学の学生も含めた交流や討議の場を設ける考えも示した。

 市と両大学の3者は、有識者懇談会の提案に沿い、旧1号館に「ヒロシマ平和教育研究機構」(仮称)を設ける方針。市は年度内をめどに、3者で取り組む研究や教育の内容、施設のイメージ、運営体制などを盛り込んだ基本計画を策定する。(明知隼二)

(2019年10月1日朝刊掲載)

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