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被爆2世 60%「不安・悩み」 日本被団協調査 継承に「意欲」3割

 日本被団協は9日、全国の被爆2世に初めて実施したアンケートの結果を公表した。被爆2世として不安や悩みを感じることが「ある」との回答が60・3%を占めた。広島、長崎への原爆投下で親が受けた放射線が自身の健康に与える影響を不安視している実態が改めて浮き彫りになった。

 東京都内であった全国都道府県代表者会議で、調査に協力した愛媛大教育学部の八木良広助教(社会学)が中間報告として発表した。2016年11月~17年7月に地域の被爆者団体などを通じ調査票を1万7567人に配り、2割弱の3417人から回答を得た。

 不安や悩みを感じる人に対し、選択肢を示して内容を尋ねた(複数回答可)。「自分の健康や体調への放射線の影響」が最多の78・6%。「父母の健康問題や介護」56・0%、「自分の子どもへの放射線の影響」41・8%―などと続いた。

 被爆2世として「被爆の実相普及や体験継承活動」への関心も尋ねた。「やってみたいことがない」が55・5%で、「やってみたいことがある」の32・4%を上回った。被爆者が高齢化して減る中、体験をどう伝えていくかという課題が改めて浮かんだ。12・1%は無回答だった。

 被爆2世を意識することがあるかとの質問に対し、「ある」が78・8%、「ない」が21・2%。「ある」と回答した人に意識する時(複数回答可)を聞くと「毎年8月に広島、長崎で式典や慰霊祭が開催された時」が84・0%、「被爆者の活動・証言を見聞した時」が66・2%を占めた。

 国や自治体に求めたいこと(複数回答可)は、「医療費の助成」が48・7%で最多。「被爆2世のための健康手帳の発行」が48・3%、「被爆2世のためのがん検診の実施」が41・9%と続いた。

 厚生労働省は自治体に委託し、被爆2世の希望者に無料の健康診断を実施しているが、そのほかに支援事業はない。被団協は来夏までにアンケートを最終報告としてまとめ、国や自治体への要請活動に反映させていく方針。浜住治郎事務局次長(73)は「健康に不安を持つ被爆2世が多いことが裏付けられた。結果を国の支援充実につなげたい」と話した。

 会議では核兵器禁止条約へ速やかに署名、批准するよう日本政府に求めるアピールを採択し、2日間の日程を締めくくった。(河野揚)

(2019年10月10日朝刊掲載)

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