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連載・特集

緑地帯 小田原のどか 彫刻を読む <4>

 「あいちトリエンナーレ2019」が閉幕した。「表現の不自由展・その後」や、文化庁の補助金全額不交付の決定をめぐる報道などで、その存在を知った人も多いことだろう。

 2010年から名古屋市を中心に始まった3年に1度の国際芸術祭だ。4回目を迎えた今回、私は招聘(しょうへい)作家として出展していた。

 地域振興も兼ねた芸術祭は、近年各所で行われている。20年秋には、広島でも「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」が開かれることが決まった。

 日本における国際芸術祭の先駆けは新潟県南部を会場とする「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や瀬戸内海を舞台とする「瀬戸内国際芸術祭」などがある。それぞれに特徴があるものの芸術監督は基本的に代替わりしない。一方、あいちトリエンナーレは毎回芸術監督が替わる。

 今回画期的だったのは、芸術監督を務めた津田大介さんが、出品作家を男女同数にすることを宣言して、実行したことだ。

 なぜこれが画期なのか。かつて日本の国立大学で美術を学ぶことができたのは男性のみだった。この歴史的背景もあり、美術史に名を連ねる女性美術家は数少ない。これは女性の資質が男性よりも劣っているということを意味しない。そもそも美術史というものが男性中心に形作られてきた。不均衡、非対称な社会の帰結なのだ。

 だからこそ津田さんの行動は非常に重要だった。さまざまな問題の陰に隠れてしまったが、津田さんの投げ掛けに、美術に関わる者たちがどう答えていくかが問われている。(彫刻家=東京都)

(2019年10月26日朝刊掲載)

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