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核禁止条約発効へ行動を サーローさん広島で講演

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))を代表して2年前にノーベル平和賞授賞式で演説した広島市出身の被爆者、サーロー節子さん(87)=カナダ・トロント=の講演会が9日、中区の中国新聞ホールであった。自伝「光に向かって這(は)っていけ 核なき世界を追い求めて」(岩波書店刊)の出版記念。一時帰国に合わせて中国新聞社が主催した。

 13歳で被爆したサーローさんは広島女学院大を卒業後、米国へ留学。当初は原爆投下を正当化する同国内の声に悩み「口にジッパーを付けるべきでは」と考えたという。しかし「被爆者としてのメッセージを発することが私の使命」と決断。自分の体験を話すだけでなく、米国の核戦略や原爆についても学び、広く核兵器の悲惨さを理解してもらえるよう努めた。

 後半は共著者である、中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターの金崎由美記者も参加し、客席からの質問に答える形で進行した。核兵器禁止条約の発効に向け、条約から目を背ける日本政府の姿勢を変える必要性を強調。「読み、考え、語るだけでなく行動して。それは誰でもできること」と呼び掛けた。

 語りは約2時間半にわたり、約540人が聞いた。原爆で家族6人を失った呉市音戸町の主婦松本秀子さん(89)は「体の芯からへつらうことなく核廃絶を叫ぶ姿勢を自分も目指したい」と話していた。(山本祐司)

(2019年11月9日朝刊掲載)

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