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「思い代弁」と感謝 被爆者・反核団体 ローマ教皇 広島訪問

 広島の地で、原子力の軍事利用を「犯罪」と断じた教皇。「思いを代弁してもらった」「勇気をいただいた」。被爆者団体や反核団体の代表は口々に感謝し、核兵器廃絶への決意を新たにした。

 二つの広島県被団協の代表は、会場で教皇を迎えた。県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(77)は「核兵器を明確に否定された。私たちの思いは同じだと感じた」と声を震わせた。

 広島では直接触れなかったものの、教皇は長崎で核兵器禁止条約の意義に言及した。「被爆国の日本政府は署名さえしてくれない。潮目が変わってほしい」

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(75)も「被爆者に寄り添ったメッセージに心洗われた」と語った。「核開発が広がる現状への危機感だろう。核に頼る国に今のままでいいのかと強く迫る内容だった」と指摘。「地球の全ての人に『対話』の必要性を説かれた。私たちも実践しないと」と力を込めた。

 「核廃絶への並々ならぬ覚悟を感じた」。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の森滝春子共同代表(80)は広島市佐伯区の自宅でテレビ中継を見守った。「核抑止に頼りながら平和を語る為政者の虚偽性を指摘し、核使用を犯罪と断じられた。インパクトは大きい」

 教皇は25日、安倍晋三首相と会談する予定。森滝氏は「首相に核兵器禁止条約批准を迫ってほしい」と願う。「私たちも首相の対応を注視し、批准を求める声を上げていく」(田中美千子、城戸良彰)

(2019年11月25日朝刊掲載)

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