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在韓被爆者 広島で祈り 長崎でローマ教皇 ミサに参加 「平和や核廃絶 願い共有」

 ローマ教皇(法王)フランシスコが24日に長崎市で執り行ったミサに参加した在韓被爆者3人が26日、広島市中区のカトリック幟町教会を訪れ、地元の信徒たちと共に平和への祈りをささげた。広島で被爆した3人は平和記念公園(中区)も訪れ、核兵器廃絶への強い思いを発信した教皇の足跡をたどった。(宮野史康)

 3人は、現地で被爆2、3世を支援する非政府組織(NGO)「陜川(ハプチョン)平和の家」のメンバーたち15人と共に訪問。幟町教会の世界平和記念聖堂で、地元の信徒たち約30人とミサに臨んだ。

 カトリック広島司教区の朴孝鎮(パク・ヒョジン)司祭(36)が被爆地での教皇の演説を踏まえ、「真の平和のためには、政治指導者が心を改めて互いに耳を傾け、連帯することが必要」と述べた。3人のうちの1人で、韓国原爆被害者協会陜川支部長の沈鎮泰(シム・ジンテ)さん(76)は「平和と核兵器廃絶を願う思いを広島の方々と共有できた」と祈りの時間をかみしめた。

 沈さんたちと一緒にミサに参加した被爆者の吉野映司さん(86)=東区=は「隣国同士、手を携えたい」と語った。

 一行は「韓国に住む被爆者を知ってほしい」と教皇宛てに手紙を送ったのがきっかけで、長崎市でのミサに招かれた。この日は教皇が碑前でスピーチした原爆慰霊碑のほか、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に黙とうをささげた。原爆資料館も見学した。陜川平和の家事務局長で、両親が広島で被爆した韓正淳(ハン・ジョンスン)さん(60)は「教皇の祈りを希望につなげていきたい」と話していた。

(2019年11月27日朝刊掲載)

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