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被服支廠3棟「保存を」 市民団体、広島県に要望書

 広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の利活用を求める市民団体が2日、今も残る4棟のうち3棟を所有する広島県に要望書を提出し、3棟を解体せずに「最大限保存」するよう要請した。

 提出したのは、全国の市民有志約200人でつくる「旧被服支廠の保全を願う懇談会」。県が地震に備えた安全対策の選択肢として解体を含めて検討している現状を踏まえ、国と市を交えて保存や活用を探る場の設置や、文化財としての保全など3項目を求める。

 被服支廠の敷地内で被爆し、建物内で救護に当たった中西巌代表(89)=呉市=たち6人が県庁で、県財産管理課の足立太輝課長に渡した。足立課長は「平和活用の価値も勘案しながら、できるだけ早く結論を出す」などと応じた。

 提出後に県庁で記者会見した中西代表は、被爆の実態をとどめる建物の尊さを強調。「核兵器廃絶に役立つ建物を壊せば取り返しのつかない損失になる」として、3棟全ての保存と、軍都の歴史を伝える資料館などに使うアイデアを説いた。(樋口浩二)

(2019年12月3日朝刊掲載)

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