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「夕凪の街」広島彩る 大型ステンドグラス 来年2月 アストラム本通駅に

 広島市西区出身の漫画家こうの史代さんが原爆をテーマに描いた「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」をモチーフにした大型ステンドグラスが来年2月29日、アストラムライン本通駅(中区)に設置される。静岡県熱海市のガラス工房で制作が大詰めを迎え、3日、こうのさんが仕上げの筆を入れた。

 作品は縦2・8メートル、横7・0メートル。ヒロインの皆実が原爆ドームを臨む川岸をはだしで歩く構図で、空に舞うツバメや満開の桜が自由と平和を取り戻した街の雰囲気を醸す。漫画本の表紙をアレンジした。

 こうのさんはこの日、初めて工房を訪れ、作品の出来栄えを確かめた。自ら主人公の表情などを仕上げ、「元気にしとるかねと、皆実と会話しながら描いた。雲などもガラスならではの感じが出ている」と話した。作品は、焼きの工程などを経て2月上旬に完成予定。

 本通駅の改札近くの壁に設置される。こうのさんは「駅を利用する人たちが、皆実を知り合いや友達のように思ってくれれば」と願った。

 公益財団法人の日本交通文化協会が企画し、公共スペースに芸術作品を置く「パブリックアート」の一環で、542作目。2016年には境港市出身の漫画家の故水木しげるさんが描いた妖怪のステンドグラスが米子空港に設置されている。(浜岡学)

(2019年12月4日朝刊掲載)

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