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被服支廠 自民・被爆者救済と核廃絶議連 平口事務局長に聞く 「100年先へ全棟保存を」

国・広島県・市の協力必要

 自民党の「被爆者救済と核兵器廃絶推進議連」事務局長の平口洋衆院議員(広島2区)が中国新聞のインタビューに応じた。存廃の議論が過熱する広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)は「100年先を見据え、全棟を残すべきだ」と主張。費用などのハードルは国、広島県、広島市が協力して乗り越えるべきだと説いた。(樋口浩二)

  ―県が、保有3棟のうち「2棟解体、1棟の外観保存」の原案を示しました。
 全棟を残すべきだ。世界で初めての被爆地としての歴史を国内外に発信する象徴となる。規模の大きさは類がなく、集客できる環境が整えば、原爆ドーム(中区)に匹敵する訴求力がある。今まで取り壊さなかったことには感謝しかない。

  ―県は1棟の耐震化に33億円かかるとしています。
 平和の尊さを伝える意味で必要な投資だ。県だけで負担を背負う必要はなく、被爆建物の保存ノウハウを持つ市と、国も交えた3者で協力して保存することが肝要だ。松井一実市長も保存を訴える以上、何らかの協力はしてほしい。私も国に財政支援を求めていく。

  ―国は保存に後ろ向きな姿勢が目立ちます。
 活用策が定まっていないのが一因ではないか。例えば、戦後も苦難が続いた被爆者の生活を遺品などから伝える資料館や、折り鶴の展示場にするなど、使い道のアイデアは尽きない。存廃議論が盛り上がっている今が好機。県と市は活用策の検討を急ぎ、国にプレッシャーをかけてほしい。

被爆者救済と核兵器廃絶推進議連
 自民党の衆参議員19人でつくる。正式名称は「被爆者救済並びに核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を推進する議員連盟」。会長は河村建夫氏(山口3区)、代表世話人は寺田稔氏(広島5区)がそれぞれ務める。活動の幅を広げるとして2019年11月に「被爆者救済を進める議員連盟」から改称した。

(2019年12月30日朝刊掲載)

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