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[2020岩国市長選] 基地との「距離」違い鮮明 

福田氏 交付金事業を推進 米重氏 財源頼み 市政批判

 米軍岩国基地への空母艦載機移転後初の岩国市長選(26日投開票)は極東最大級となった基地にどう向き合い、まちづくりを進めていくかが問われる。「共存」を掲げる現職福田良彦氏(49)と「自立」を訴える新人米重政彦氏(64)。両候補者とも騒音などの課題に取り組む姿勢を示すが、基地へのスタンスは相反する。これまでの街頭や集会での訴えも対照的だ。(松本恭治、坂本顕)

 「まちづくりの流れをさらに進化させ、未来を担う子どもたちにつないでいきたい」。福田氏は21日、基地北側にある東地区のスーパー前で力を込めた。約4分間の演説は小中一貫校建設など周辺で進む事業の話題に終始し、増大した騒音など基地問題への言及はなかった。

 19日の出陣式で「騒音軽減策について国に物申し、地域振興策や再編交付金の延長も要望する」と強調した福田氏。以後、そうした発言はなかなか聞こえてこない。市総合計画で「基地との共存」を掲げる中、演説場所で配るビラには基地関連の交付金を生かした子育て支援策、英語教育の推進といった実績と公約がずらりと並ぶ。

 米重氏は21日、同市愛宕山地区での米軍住宅建設に反対してきた市民団体の集会に出席した。「基地頼みの政治姿勢ではいつまでも爆音はなくならない」と現市政を批判。市街地上空の飛行や戦闘機部隊の規則違反問題も含め、8分余りの演説の大半を基地問題に費やした。

 市内各地で街頭演説をこなし、基地関連の財源に頼らない「自立」した市政への転換を主張。市の騒音測定箇所を増やすなどして米軍機の運用実態を独自に把握し、国や米軍に対策を求める考えを示す。20日の演説では「相手陣営は基地の『き』の字にも触れない。これで本当に岩国の未来が託せるのか」とけん制する場面もあった。

(2020年1月23日朝刊掲載)

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