×

ニュース

被爆塀の破片 英大学へ 広島大研究員の嘉陽さん4回目 「犠牲者に思い巡らせて」

 広島大(東広島市)は24日、原爆の爆風に耐え、2018年に老朽化のため解体された広島刑務所(広島市中区吉島町)の塀の一部を英ケンブリッジ大に送った。被爆75年事業の一環で、現地の学生の平和教育に役立ててもらう。

 送付したのは、広島大研究員の嘉陽礼文さん(41)が塀の解体時に同刑務所から譲り受けた破片の一つ。三角柱状の高さ約25センチの花こう岩で、重さは約27キロ。

 嘉陽さんによると、塀は、現在地に同刑務所が移設される前の1886年ごろに建てられた。爆心地から約2キロにある同刑務所では被爆時、建物の多くは倒壊したが、塀は残り、戦後も使われたという。

 嘉陽さんは海外の大学に被爆資料を送る活動を続けており、ケンブリッジ大へは4回目。今回、広島大の学生と被爆者が原爆ドーム(中区)前の元安川の砂を混ぜた土で共同制作した陶器も届ける。

 塀の一部はケンブリッジ大の博物館に展示されるという。嘉陽さんは「原爆の犠牲になった人たちに思いを巡らせてもらう機会になれば」と話している。(田中美千子)

(2020年3月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ