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大田洋子の遺影を登録 広島祈念館 被爆作家「屍の街」

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は21日、広島県出身の被爆作家、大田洋子(1903~63年)の遺影を登録したと発表した。新型コロナウイルスの影響で休館しているため、再開後に館内の端末で公開する。

 大田は1945年1月に東京から白島九軒町(現中区)の妹宅に疎開し、同8月6日に被爆。母や妹たちと河原で野宿し、幼少期を過ごした玖島村(現廿日市市)へ逃れた。同11月、自らが目にした被爆の惨状を基に小説「屍(しかばね)の街」を書き上げた。

 遺影は東京都あきる野市在住のめい、中川このみさん(72)が提供した。中川さんは「洋子は『人はあれを見てもなお、戦争が起きても止(や)むを得ずと思うであろうか』と問いかけた。作品に触れて核の脅威を知り、考える参考としてほしい」と願った。

 祈念館は休館中も遺影の登録を広く受け付けている。祈念館☎082(543)6271=休館中は平日のみ。(明知隼二)

(2020年5月22日朝刊掲載)

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