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被爆75年巡る連載評価 中国新聞読者と報道委 大規模買収報道も

 中国新聞の報道に有識者が提言する「読者と報道委員会」の第55回会合が29日、あった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で初めてオンラインで開催。連載「ヒロシマの空白 被爆75年」、昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件、新型コロナの関連報道を主なテーマに、委員3人が編集局幹部たちと意見を交わした。

 広島修道大国際コミュニティ学部教授の船津靖氏(64)、弁護士の秋田智佳子氏(53)、ピアニストで合同会社ひびき代表社員の中村桂子氏(43)の3委員が、下山克彦編集局長の司会で議論した。

 被爆75年に合わせ、名前さえも把握されていない犠牲者を調査した連載「ヒロシマの空白」について、船津氏は「力作だ。死者の名前を確認し、記録に残すのは大変な作業だ。使命感が伝わる」と述べた。秋田氏は、連載の一環で被爆前の街並みの写真を読者から募った試みに触れ、「当時の姿がリアルに伝わる。重要な資料だ」と評した。

 河井克行前法相夫妻を巡る大規模買収事件の報道について、秋田氏は広島県議会や県内の市町議会の議員たちを総力取材した姿勢を評価。「私の10代の息子たちも議員の証言を読み込んでいた。若い人が政治に関心を持つきっかけになる」と指摘した。中村氏は「なじみの薄い裁判の流れなどが図解してあり、事件を理解しながら追い掛けることができた」と語った。

 新型コロナ関連では、中村氏が「手作りマスクの作り方、手洗いの仕方など生活に密着した情報がとても助かった」と歓迎した。船津氏は「コロナ禍はまだ続く。生活に不安がある人に役立つ情報やルポなどの記事を今後もお願いしたい」と注文した。(田中美千子)

(2020年6月30日朝刊掲載)

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