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「核廃絶訴え より強く」 平和宣言骨子案 広島市が意見公表

 広島市は3日、今年の平和記念式典で松井一実市長が読む平和宣言の骨子案について、懇談会の委員7人が書面で寄せた意見の主な内容を公表した。日本政府に対する核兵器禁止条約の署名・批准の要請など、核兵器廃絶に関わる訴えについて、より強い表現とするよう求める声が目立った。

 意見は、市が6月にまとめた非公表の骨子案に対して募った。このうち、日本政府が背を向ける核兵器禁止条約については「昨年に比べ、政府に対する期待感をさらに強めるのが望ましい」との指摘があった。

 昨年の平和宣言は「禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思い」を受け止めるよう、日本政府に呼び掛けた。これに対して被爆者団体や反核団体からは「市長として求める言葉がないと弱い」「積極性がない」などの指摘が出ていた。

 市は今回の公表で、意見を「核兵器廃絶に向けた訴え」「時代背景を踏まえた事項」「その他」の3分野に分け、九つの提案に整理した。ほかには「政治指導者に被爆地訪問と被爆の実態への理解を強く呼び掛ける」「コロナ禍で自国第一主義、米中の緊張などが顕在化したことに警鐘を鳴らす」などがあった。

 松井市長は今月7日に市役所である懇談会の会合で平和宣言の文案を示す。今年は新型コロナウイルスの影響で書面のやりとりにとどまっており、会合を持つのは初めて。委員との非公開での議論を踏まえて、原爆の日までに起草をする。(水川恭輔)

(2020年7月4日朝刊掲載)

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