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被爆3世と家族 記憶つなぐ写真 堂畝さん 平和公園で撮影

 「被爆3世」をテーマに撮り続ける広島市中区の写真家堂畝紘子さん(38)が26日、中区の平和記念公園で撮影に臨んだ。今年の被爆75年に向けて準備してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で撮影の中止が相次いだ。「原爆や戦争を考えるきっかけをつくり続けたい」と話し、来年以降の展示会で披露する。

 この日は、祖母を捜しに入市被爆した前田良子さん(81)=中区、長女の出張直子さん(44)と孫ひな実ちゃん(3)=同、前田さんの兄で旧陸軍被服支廠(ししょう)(南区)で被爆した中西巌さん(90)=呉市=の4人を写した。原爆ドームを望む元安川や国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を巡って撮影し、前田さんたちの被爆証言にも触れた。

 堂畝さんは2015年に友人の勧めで、被爆3世と家族に焦点を当てた撮影を始めた。「祖父母の体験を聞くと、人ごとのようだった被爆3世の表情ががらりと変わる瞬間がある」。これまでに約90組を収め、全国で企画展を開いてきた。

 前田さんは「兄とも久々に会い、昔の記憶に向き合えた」。直子さんは「原爆を生き抜いた母と伯父、私と娘との絆を残せた」と話した。(井上龍太郎)

(2020年7月27日朝刊掲載)

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