被爆体験がうまく次世代に継承できているかどうか、被爆者と若者にそれぞれ聞いた。被爆者は「できている」と「ある程度できている」を合わせると45・4%で、「あまりできていない」と「できていない」の計39・1%を6ポイント強上回った。「できている」との認識は性別は男性、年代別では六十歳代に強い。
若者では「できている」「ある程度できている」の受け止めは55・8%に達し、「あまりできていない」「できていない」の32・0%を大きく引き離した。「できている」と感じているのは女子が多く、中学生が70・9%で際立つ。
被爆体験を伝える効果的な方法については、十の選択肢から最大三つを選んでもらった。「平和教育を活発にする」「被爆者の体験を文章や映像に記録し、活用と保存を図る」「被爆体験や被爆資料の保存」。被爆者、若者ともに上位三項目は共通していた。
被爆者は、「平和教育を活発にする」が53・9%で最も多く、過半数はこれだけ。若者と比べると、「家庭で積極的に話し合う」「市民講座に力を入れる」の割合が高い。学校や家庭、地域ぐるみで体験継承に取り組む必要性を訴えている。
若者は、被爆者から直接証言を聞いたり交流したりする機会を、より重視する傾向がある。例えば「被爆者の体験を記録し、活用を図る」が最多の56・3%。この項目を含め「国内外での被爆体験の証言」「被爆者とのふれあいを深める」の割合はそれぞれ被爆者より10―20ポイント上回った。
また、「核実験や原発事故による被災者との交流・連帯」と答える若者が多く、20%を超えている。広島と長崎の原爆被害以降も世界中に広がる核被害を直視しようとの意識がうかがえる。
被爆者には、核兵器廃絶のため被爆者自身が何に取り組めばよいかを複数回答で尋ねた。その結果、若者への期待がくっきり表れた。「被爆体験を若い人に語り、伝えていく」(65・2%)、「反核の思いを若者に受け継いでもらい、国内外で訴えてもらう」(62・4%)「若い人に運動を託す」(49・1%)―の順。「国に任せておけばよい」(4・1%)「何をやっても仕方ない」(2・2%)と、あきらめや悲観論は少数派だった。
若者にも、核兵器や平和の問題を考えるため自身はどうしたらよいかを複数回答で質問した。「被爆体験を引き継ぎ、伝えていく」がトップの59・1%。「被爆者の思いを国内外でアピールする」(41・7%)「家族や友人ら身近な人と平和について語り合う」(33・5%)と続いた。