被爆者であることを六十年後の今も意識しているか否かについては、57・9%が「常に」と答え、「ときどき」の34・5%を加えると92・4%に達した。中国新聞社が被爆五十年の十年前に実施した被爆者アンケートの80・6%に比べ、10ポイント以上増えている。
「意識するのは、どんな時か」(複数回答)で最も多かったのは、「健康がすぐれないとき」で69・6%。高齢化による健康への不安が、被爆者としての意識を強めている実態がうかがえる。
次いで、「八月六日が来るたび」が60・0%、「被爆や核問題などの報道に接するとき」が53・0%。さらに「被爆者同士で話をするとき」(30・4%)「子や孫、ひ孫が生まれたとき」(22・5%)「将来の生活を考えるとき」(19・0%)と続く。
被爆体験をめぐる認識では、「忘れられない」が最も多く41・8%を占め、「忘れてはならない」が38・0%で続いた。人生を一変させた原爆への怒りと恐怖、体験を伝えていこうとする使命感がにじむ。
「忘れてしまいたい」は5・3%、「忘れるべきだ」は1・2%にとどまった。
被爆体験を伝えるため今までにしたことは、「家庭で子や孫に話した」が最も多く56・6%。「手記など体験記を書いた」「反核・平和運動に参加した」「会合や集会で証言した」は18―15%台。