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連載 被爆70年

[ヒロシマは問う 被爆70年] 平和教育の今 世界を舞台に若者熱く訴え NPT会議ユースフォーラム

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議4日目の4月30日、同本部の会議室に各国政府の軍縮担当、非政府組織(NGO)メンバーたち100人近くが詰め掛けた。視線の先には被爆地の高校生。「被爆者は私たちに同じ悲劇を体験させたくない一心で、語ってくれる」「僕らの世界に核兵器はいらない」。高校生たちは特訓した英語で堂々と訴え、盛んな拍手を浴びた。

 再検討会議に合わせて平和首長会議(会長・松井一実広島市長)が企画した「ユースフォーラム」。広島市中区の広島女学院高と修道高、福山市の盈進(えいしん)高の計8人が、広島平和文化センターから派遣された。那覇市の沖縄尚学高の2人も加わった。

 核兵器禁止に向けた署名集め、碑巡り案内などの取り組みを紹介し、平和への思いを訴えた。「よく聞いてもらえた。伝わったと思う」と、修道高3年の石井響弥(きょうや)さん(17)。

 外交交渉の最前線に参加し、語学力も駆使して、核兵器なき未来への希望をつなごうとする姿は頼もしい。同時に、被爆者の声をしっかりと受け継いだ発信を広げるためには、足元の平和教育の積み重ねが欠かせない。(田中美千子)

(2015年5月23日朝刊掲載)