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連載・特集

緑地帯 大上充子 広島俳句今昔 <7>

 俳句の魅力の一つに、吟行会がある。仲間で行ってみたい所、詠んでみたいものなど計画を立てる。日帰りあり、一泊あり。その土地の名所、風景、歴史を訪ね、感動したこと、記憶に残ったことは自然と句になる。

 泊まりだと夜に勉強会を開く。日帰りだと帰りに、または後日お互いに句を提出し合う。作品を俳誌で発表することも楽しみの一つだ。同じ趣味を持つ者同士は、初対面でもすぐ打ち解けられるのも吟行の良さかもしれない。

 かつては他の結社と親睦しながら吟行会を開いた時代もあったが、最近はそれぞれ年中行事が決まっているため、難しくなってしまったのが寂しい。結社の垣根を越えて、また実現できるようになればいいなと思う。

 私が編集長を務める「早苗」は、1年ごとに日帰り吟行会と一泊吟行会を開く。投句を選考し、新年句会の時に表彰している。ほかの結社も同じような活動ではないかと思う。

 年1回、特別作品の募集があり、誰が入選したか楽しみだ。私も心に残る句、生きた証しを示す句を作れるよう精進したい。30年余り編集という裏方の仕事をしていると、句作のマンネリ化が気になる。高齢化による会員の減少も残念だ。子ども教室ができないことも悩みとなっている。

 高齢化により行動範囲が狭まっていて、「けがをしないように」「長時間の乗り物や現地集合は無理」などという声が大きくなってきた。元気に毎月投句してもらうだけでもいいのかなと自分を納得させている。(広島俳句協会事務局長=広島市)

(2020年11月18日朝刊掲載)

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