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「平和」「軍事」揺れた過去
 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は、被爆者調査という人類史上、前例のない研究を積み上げ、 放射線が人体にもたらす影響を少しずつ明らかにしてきた。その成果は、ヒロシマの財産であると同時に、 被爆者を二度とつくってはならないとの戒めでもある。人類の英知を未来にどう継承していくのか。六十年 を迎える放影研のいまに迫る。
第1部 歴史を越えて (07.02.26〜07.03.03)
  1. 科学の功罪 研究者、使命を自問
  2. 医の模索 生き残りかけ地域連携
  3. 後継者不足 揺らぐ研究所の将来像
  4. 進まぬ移転 日米間ですれ違う思惑
  5. 地域との融和 対話を重ね被害解明へ
第2部 被爆二世 (07.03.21〜07.03.26)
  1. 研究の到達点 超えられぬ「人知の壁」
  2. 医の模索 生き残りかけ地域連携
  3. 後継者不足 揺らぐ研究所の将来像
  4. 進まぬ移転 日米間ですれ違う思惑
  5. 地域との融和 対話を重ね被害解明へ
第3部 被爆地とABCC (07.06.06〜07.06.10)
  1. 幻の調査 「残留」研究 中止悔やむ
  2. 新生児調査 「目的知らず」 米に報告
  3. 迎えのジープ 強引な採血 憤りの記憶
  4. 互いの視線 検査 援護への活用期待
  5. 板挟み 連絡員 反発軽減に苦心
第4部 海の向こうで (07.06.30〜07.07.06)
  1. 前向きに 米恨まず治療の道一筋
  2. 歴史をつむぐ 交流の記録 真実に迫る
  3. 学士院の立場 誤解解消へ「なお研究を」
  4. 科学者の視線 長年の蓄積 将来に託す
  5. 占領の象徴 科学の論理 優先を批判
  6. フランシス報告 被爆地研究の基盤築く
  7. 父の思い 罪を感じ被爆地に滞在
第5部 提言編 (07.10.10〜07.10.19)
  1. 移転し開かれた施設に
    日本被団協代表委員 坪井直氏

  2. 放射線疫学 けん引役を
    放射線医学総合研究所重粒子医科学センター
    副センター長 丹羽太貫氏

  3. 心理的影響の解明急げ
    広島原爆障害対策協議会事務局長 畑口実氏

  4. 多角的な遺伝調査必要
    全国被爆二世団体連絡協議会前会長 平野伸人氏

  5. 全ヒバクシャに対応を
    広島赤十字・原爆病院長 土肥博雄氏

  6. 被害救済を根本理念に
    広島市立大広島平和研究所所長 浅井基文氏

  7. 移転実現へ国は本腰を
    広島市長 秋葉忠利氏

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ABCC/放影研の足跡
1945年 8月 広島・長崎に原爆投下
9月 日米合同調査団が発足
1946年 11月 米トルーマン大統領が米学士院と学術会議に被爆者の長期的調査を指令。10日後に4人の専門家が広島入り
1947年 3月 広島赤十字病院内に原爆傷害調査委員会(ABCC)を開設
1948年 1月 国立予防衛生研究所(予研)広島支所がABCC内の研究に加わる
1950年 10月 国勢調査の付帯調査として全国被爆生存者調査を実施。全国で約29万人を把握
11月 広島ABCCが比治山公園に移転開始
1952年 4月 日本が独立
1955年 11月 米原子力委員会(AEC、現エネルギー省)と学士院、学術会議でつくるフランシス委員会が研究計画の大幅見直しを提案
1958年 7月 成人健康調査を開始
8月 ABCCと予研が寿命調査に関する同意書を交わし、日米共同研究体制の基盤が確立
1975年 4月 ABCCと予研を再編改組し、日米共同運営方式の財団法人放射線影響研究所が発足
1978年 12月 被爆者の解剖中止
1986年 3月 原爆放射線量の暫定値「T65D」を修正し、線量計算システム「DS86」を決定
1990年 10月 世界保健機関(WHO)のチェルノブイリ事故科学諮問委員会会議を開催
1995年 10月 WHOの「緊急被曝(ひばく)医療支援ネットワーク」(REMPAN)会議を開催
1996年 6月 ブルーリボン委員会が、放影研の将来のあり方をめぐり、疫学調査を最優先テーマとするよう勧告
1999年 10月 茨城県東海村臨界事故で周辺住民の健康調査に参加
2001年 5月 被爆二世の健康調査が始まる
2003年 3月 「DS86」に代わる新しい線量計算方式「DS02」を最終承認
2005年 11月 将来構想を決める第三者機関「新ブルーリボン委員会」の06年設置で、日米両政府が合意
2006年 7月 広島大と包括的協力協定を締結
10月 放射線医科学総合研究所、広島大、長崎大と共通データベースの構築で合意したと発表▽被爆医療関連施設懇話会が、広島市中心部への移転を柱とする地元要望をまとめる
12月 9月末までに実施した被爆二世調査の受診者1万1951人と発表▽今後20年の将来構想を議論する第三者機関「上級委員会」が開かれる