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原爆記録写真

復興期の広島 パノラマネガ発見 被爆から2年 菊池俊吉さん撮影

■編集委員 西本雅実

 被爆から復興に立ち上がる広島市の中心街を1947年8月に記録した貴重なパノラマ写真のネガが見つかった。写真家の菊池俊吉さん(1916―90年)が、爆心地に近い旧広島商工会議所(現中区基町)の屋上と、旧中国新聞社(現中区胡町)の屋上から撮影し、東京都在住の妻徳子さん(83)が保存している。

▽2月14日公開

 今回見つかった復興期のネガは、広島市の原爆資料館と中国新聞社が、広島国際文化財団(山本信子理事長)の助成を得て昨年3月から、被爆直後の撮影写真を電子化する過程で、現存が分かった。

 一連の写真は、菊池さんが広島にあった「瀬戸内海文庫」の依頼を受け、47年8月下旬から9月末にかけて撮影。一部は、海外向けに49年刊行された写真集「LIVING HIROSHIMA」に使われたが、大半が今も未公開のままである。

 旧文部省の原子爆弾災害調査研究特別委員会の記録映画製作で、「物理班」の撮影を担当した写真家林重男さん(1918―2002年)が旧商議所と旧中国新聞社の屋上から45年10月に撮ったパノラマに合わせ、同じ場所から、47年8月6日に第1回平和祭(現平和記念式典)を営み、復興に立ち向かい始めた被爆都市を記録した。

 資料館は2月14日から開く「菊池俊吉写真展」で、被爆直後と復興期の貴重な記録写真を公開する。

 菊池さんは、記録映画製作で、「医学班」のスチール写真を担当。45年10月1日から20日まで、被爆直後の生々しい惨状を記録し、個人としては最多の860枚を撮り残している。