広島富国館
18年8月1日
電信局入居 死者107人
広島富国館は、広島市袋町(現中区)に1936年に完成した地上7階、地下1階のビルです。当時、市内で最も高層(こうそう)でした。ビルには、保険会社の「富国徴兵(ちょうへい)保険」や、レストランの「精養軒(せいようけん)」が入っていました。
45年6月、NTT西日本の前身、広島電信局が地下から地上5階までを使い始めました。空襲警報(くうしゅうけいほう)の伝達や電報、電話業務をしていたため、軍部が頑丈(がんじょう)なこのビルに移るよう要請(ようせい)したのです。原爆資料館(同)によると、原爆で電信局では117人中、107人が亡(な)くなりました。
建物は倒(たお)れませんでしたが、地階以外は焼(や)き尽(つ)くされました。改修を経て82年に解体されるまで使われました。現在は同じ場所に「フコク生命ビル」が立っています。