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ヒロシマ用語集

急性障害

大量の放射線で発症

 短い期間に、一定量以上の放射線を浴びると急性障害が起きます。広島や長崎で原爆に遭(あ)った人たちは、直後から嘔吐(おうと)や下痢(げり)、発熱、脱毛(だつもう)、出血、意識障害などの症状(しょうじょう)に襲(おそ)われました。大量の放射線が血液を造る骨髄(こつずい)、胃や腸などの細胞(さいぼう)を壊したからだと考えられています。熱線や爆風だけでなく、放射線障害によって多くの人が亡くなりました。

 放射線の影響(えいきょう)は急性障害だけではありません。がんになる確率が普通の人より高いなど、長い年月にわたって被爆者の健康にリスクをもたらします。これを「後障害」と呼んでいます。

 原爆に遭った以外の日本人にも急性障害は出ています。1954年、米国が太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁(かんしょう)で行った水爆(すいばく)実験で、遠洋マグロ漁船の第五福竜丸が放射線に被曝(ひばく)、乗組員に急性障害が出て、久保山愛吉さんが半年後に亡くなりました。

 99年の茨城県東海村の臨界事故でも作業員2人が急性障害で死亡しました。一方、2011年の福島第1原発事故の被災者は、原爆などに比べれば1人当たりの放射線量が低く、急性障害は確認されていません。しかし低い線量の被曝の影響をどう考えるかが問われています。