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ジュニアライター発信

フラワーフェスティバル 被災地にエール ジュニアライターが発信

 10代でつくる中国新聞のジュニアライターは5日、2012ひろしまフラワーフェスティバル(FF)のちゅーピーひろば(広島市中区)でイベントを開催した。テーマは「LOVE&PEACEジュニアライター~みんなが笑顔になるために」。約50人が見守る中、原子力発電所の必要性などについて議論し、来場者と一緒に東日本大震災の被災地への折り鶴メッセージフラッグを作った。(文・二井理江、写真・増田咲子)

原発の是非 意見交換

 「中高生と3・11」と題した討論会では、中学3年から高校3年までのジュニアライター4人がパネリストとして登壇。大震災による意識の変化や、原発の是非などについて意見を交換した。

 高1の石井大智君(15)は震災後の変化として、人との出会いを大切にするようになったことを紹介。中3の高矢麗瑚さん(14)は「節電や食べ物を残さなくなった」と話した。

 原発について、高3の熊谷香奈さん(17)は「見えない放射線の恐怖にさらされ続けないといけないのはおかしい」。高2の田中壮卓君(17)も「核のごみが増え続けている。いくら便利でも処理の見通しがはっきりしないのに稼働を続けるのは危ない」と強調した。

 これに対し、石井君は「地震の少ない場所に建てればリスクは低くなる。早急にはなくすべきではない」と反論。高矢さんは「核兵器も原発も核を利用する点では同じ。自分たちに得のある原発だけを推進すべきではない」と述べた。

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支援の学生に取材

 ともに高1でジュニアライターの木村友美さん(15)と来山祥子さん(15)が、被災地を支援している広島大の学生ボランティア団体「OPERATIONつながり」の一木星(あかり)さん(20)、伊達文香さん(20)にステージ上でインタビュー。日ごろの取材風景を再現した。

 学生だからこそできる活動の利点について木村さんが質問。一木さんは「NPO法人や大人だと、目に見える結果を求められる。学生は成果が見えなくても続けられる」と答えた。来山さんが、今後やりたい活動を尋ねると、伊達さんは「地域のつながりが大事だと分かったので、防災講座や、学生が田舎に民泊して絆を深める企画をしたい」と夢を語った。

 やりとりを見ていた広島女学院中3年小田仁美さん(14)は「質問がどんどん出ていてすごい。自分も何かボランティアができたらいいな」と話していた。

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折り鶴メッセージ

 ジュニアライターと来場者が、折り鶴約千羽を使った被災地へのメッセージフラッグを作り上げた。

 フラッグは縦45センチ、横60センチの樹脂ボード。訪れた家族連れや子どもたちが、赤、ピンク、黄の折り鶴に「焦らずに、皆で少しずつ復興していきましょう」「震災のことを忘れず、ずっと応援します」などとメッセージを書き込み、両面テープでボードに隙間なく貼り付けた。完成が近づくにつれ、ハートマークの中に、「PEACE」の赤い文字が浮かび上がった。

 伴南小5年木曽竣太君(10)は「被災地が元気になってほしい」と話しながら、「未来をスマイルに」とのメッセージを書いていた。出来上がったフラッグは、岩手県釜石市の中学校に贈る予定。

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 ◎…3種類のカードを使った防災ゲームを来場者と一緒に楽しんだ。
 表示されるカードに合わせて、地震の絵では「頭を抱えてしゃがむ」、津波の絵では「走って逃げる」、火事の絵では「ぬれたハンカチを口に当てる」といった動作をして、反応の速さを競った。
 29人が参加。優勝した己斐上小3年小田龍一郎君(9)は「津波の時の対応は初めて知った。いざというとき、うまくやれたらいい」と話していた。

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 ◎…会場では、被爆証言を聴く連載「記憶を受け継ぐ」や、「ジュニアライター通信」「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」などの記事パネルを展示。訪れた学生や親子連れが興味深そうに見ていた。
 また、聖路加国際病院理事長の日野原重明さんや、被爆者をジュニアライターが取材している風景を紹介したDVDも上映した。

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フラワーフェスティバルに参加して ジュニアライター

参加者と防災ゲーム楽しんだ/大勢の思いが被災者の力に/真剣な討論 刺激もらった


 たくさんの人が快くメッセージフラッグを書いてくれました。被災地の人たちの復興を目指す力が強まると、うれしいです。(中2・松尾敢太郎)

 防災ゲームでは、予想を超える参加者の多さに驚きました。会場の盛り上がりもすごく、お客さんと一緒になって楽しむことができました。(中3・井口雄司)

 防災ゲームでは、小さな子どもたちと交流できました。一人でも、ジュニアライターになりたいと思ってくれたら、うれしいです。(中3・河野新大)

 討論会では、さまざまな意見が出ました。みんなで力を合わせて平和に向かって行くには、自分とは違う考えも受け入れなければならないと実感しました。(中3・高矢麗瑚)

 討論会では、時間が限られていたので互いの議論を深められませんでした。今度はしっかり下調べをして、時間をかけて、より充実した討論をしたいです。(高1・石井大智)

 模擬取材で、大学生の2人が自分の思いをしっかり言葉で表現していて尊敬しました。私も被災地でボランティアをしたいです。(高1・木村友美)

 人前での取材は緊張しましたが、ボランティアの人が分かりやすく話してくれたので、リラックスできました。私も分かりやすい記事で伝えたいです。(高1・来山祥子)

 司会に挑戦しました。討論会では、4人の意見をまとめながら進行しました。難しかったですが、いい経験になりました。(高1・佐々木玲奈)

 初めて司会を務めました。緊張したけど、佐々木さんがうまくまとめてくれて助かりました。来年はパネリストとして参加し、白熱した討論をしたいです。(高1・坂本真子)

 防災ゲームを担当しました。最初は失敗しないか不安でしたが、仲間に助けられて成功できました。参加者の皆さんが楽しんでくれたので、うれしかったです。(高1・寺西紗綾)

 小さな子どもからお年寄りまでが、被災地に向けたメッセージを折り鶴に書いてくれました。大勢の人の思いが、被災者の力になれば、うれしいです。(高2・秋山順一)

 呼び込みの時、「ジュニアライター、頑張ってね」と言われたのが、うれしかったです。多くの人に読んでもらえる記事が書けるよう頑張りたいです。(高2・井口優香)

 みんなの真剣な討論を聞き、私も公の場で訴えることができるような意見を持つべきだと、刺激を受けました。知識や経験を増やしたいです。(高2・城本ありさ)

 公開討論会では、核の平和利用に反対している自分の考えについて、しっかり発言できました。もっと議論を交わす時間があったら、よかったです。(高2・田中壮卓)

 討論会では、原発や核兵器について他のジュニアライターの意見が聞けて参考になりました。もっと多くの人に私たちの考えを聞いてもらいたいです。(高3・熊谷香奈)

(2012年5月8日朝刊掲載)

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