8・6でジュニアライター 被爆体験継承へ「宣言」
12年8月16日
 中国新聞のジュニアライターは、広島への原爆投下から67年となる6日、被爆体験を継承し、平和のために行動することを誓う「平和宣言」を作った。広島市中区の平和記念公園を訪れた10代の若者たちには、「平和への思い」について聞いた。(二井理江、増田咲子) 
  平和のために、子どもたちは何ができるか―。ジュニアライターは、アンケート取材や普段の活動を通じて、各自が考えてきたことを400字程度の平和宣言文案にまずまとめ、それを基に意見を出し合い、一つの文章にした。 
  飢餓や人権侵害、いじめの問題に触れ、命の大切さを強調。一方で、自分たちを「被爆体験を直接聴ける最後の世代」と位置付け、被爆者の記憶を受け継いでいく必要性も訴えている。 
  興味を持って読んでもらえるよう、疑問を投げ掛ける文章から始める工夫もしている。 
  今、世界は平和でしょうか。世界には内戦や紛争(ふんそう)、食料問題で苦しんでいる人がたくさんいます。私たちが当たり前だと思っている食べることや、教育を受けること、自由に発言することは、当たり前ではないのです。 
  日本では、どうでしょうか。戦争はしていないし、飽食(ほうしょく)の時代と言われるほど、食べ物に恵(めぐ)まれています。しかし、いじめ問題など命を粗末(そまつ)にするようなことが日常的に起こっています。 
  また、ヒロシマとナガサキで命の大切さを知っている被爆者は年々減少し、被爆体験を話してくれる人も減っています。 
  このような現状を少しでも改善し、平和な世界を創るために、私たちにできることはたくさんあります。困っている人を支援(しえん)するために署名や募金(ぼきん)をすること。相手を思いやり、尊重し、違(ちが)いを受け入れ、歩み寄ること。家族や友達、今自分の隣(となり)にいる人、自分自身を大切にすることです。 
  さらに、私たちは被爆体験を直接聴くことのできる最後の世代です。しかし、この貴重な体験談は、一部の人から一部の人にしか受(う)け継(つ)がれていないように感じます。だからこそ、私たちジュニアライターは、取材を通して正しい情報を知り、広く世界に発信していくことを誓(ちか)います。 
  ジュニアライターは、平和記念公園にいた小中高生たちから、東日本大震災の被災地に贈るメッセージを集めた。 
  45センチ四方の色紙を2枚用意。「いつも笑顔で、一緒に頑張りましょう」「無理せず、ゆっくりと…」「いつだって一人じゃないことを忘れないでください」など、計約110人が思いを書き込んだ。 
  今後、色紙の縁を折り鶴で彩り、岩手県大船渡市内の中学校などにジュニアライターが届ける。 
  「平和への思い」については、国内外の183人に聞いた。核兵器や戦争のない世界を願うとともに、いじめや差別など身近な問題から解決していこうとするなど、平和な世界をつくる決意を新たにしていた。主な意見を紹介する。 
  ○「戦争はしない!」広島で学習してあらためてそう思った(中3・長野県飯山市) 
  ○皆が安心して暮らせる世界に(中3・北海道北広島市) 
  ○世界の人が一人でも多く、一秒でも長く、笑顔でいられたらいい(中3・長野県辰野町) 
  ○実際に被爆体験を聴いて心に響いた。周りの人に伝え、みんなが知ることができれば平和につながる(中2・栃木県日光市) 
  ○もうこんな核の時代を終わらせたい(中2・福島県郡山市) 
  ○世界から核兵器をなくして、戦争のない世界にしたい(中3・新潟県妙高市) 
  ○核がなく、安心して生活できる未来へ(中3・千葉県いすみ市) 
  ○少しずついじめをなくしていきたい(中1・横浜市) 
  ○今、戦争に向いている力は、もっと子どもや未来、苦しんでいる人々に向けるべきだ。核だってなくせると思うし、平和を目指そうと思えばかなう(高1・大阪市) 
  ○原爆のことを忘れないで、受け継いでいきたい(高2・広島市安佐南区) 
  ○人と人とのつながりが大切だ(中2・福島県郡山市) 
  ○日本はもう戦争などを起こさず、戦争で苦しんだり、悲しんだりする人をつくったらいけない(中1・宮崎市) 
  ○みんなが笑顔でいられるといい(中2・沖縄県石垣市) 
  ○世界中が手を取り合える未来を目指したい(高1・呉市) 
  ○過去にあったことを伝えられるのは私たちしかいない(中3・京都府木津川市) 
 (2012年8月13日朝刊掲載)

						
						






