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ジュニアライター発信

歩こう広島まで 逃げた70キロ 逆にたどる

 広島への原爆投下後に、被爆者が歩いて逃げた島根県邑南(おうなん)町までの道のりを、逆ルートで歩いて原爆ドーム(広島市中区)を目指す「歩こう広島まで」(邑南町公民館連絡協議会主催)が、毎年8月6日の前に行われています。25回目の今年は4、5日にあり、70人が参加しました。

 「歩こう広島まで」は1988年に初めて開催(かいさい)されました。同町の登山グループの一人の「広島市内で被爆した親子がわが家に逃(に)げてきた」との言葉から、彼女らの経験した苦労を分かち合おうと始めました。

 道のりは約70キロ。8月の強い日差しの下、また夜も2時間ほど仮眠(かみん)して歩き続けます。過酷(かこく)ですが、毎年続けており、参加者はこれまでに延べ千人近くに上ります。うち6割が中高生です。

 発起人の一人、同町の田中庸三(ようぞう)さん(55)は「原爆について、中高生の無関心を関心に変えたい。考えてほしいことはあえて言わないが、理解してくれていると思う」と言います。出発前には、原爆に関するDVD鑑賞(かんしょう)など学習会もします。

 初めて参加した同町の石見中3年の駒川愛斗(まなと)さん(14)は原爆ドーム到着(とうちゃく)後、「被爆者がこれだけの道のりを歩いたのがすごい。足の痛みやけが、体調不良といった被爆者の気持ちが少しは分かった」と感想を述べていました。(高2・秋山順一)

(2012年8月20日朝刊掲載)

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