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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 似島でフィールドワーク 被爆者運ばれた歴史学ぶ

 広島への原爆投下後、約1万人の被爆者が運ばれ、多くが亡くなった似島(広島市南区)を巡るフィールドワークがあり、参加しました。島に住み、地域の歴史に詳しい宮崎佳都夫さん(64)の案内で、戦争や原爆について学びました。

 似島にあった軍事施設の検疫所は、原爆が投下された後、臨時野戦病院になり、推定1万人の被爆者が運ばれました。

 被爆者が船で似島に来る時に使った桟橋や、遺体を焼いた焼却炉、救護のために使われた井戸などは今も残っています。それらを見て回りました。似島では、大勢の被爆者が亡くなり、埋葬もされました。戦後、何度か遺骨の発掘が行われました。最近では2004年に、85体分の遺骨と65点の遺品が見つかりました。

 宮崎さんの母は、似島で被爆者の看護に当たりました。人々が相次いで亡くなり、「この世の地獄だった」と話していたそうです。平和学習で訪れる中高生の案内もしている宮崎さんは「原爆に代表される悲惨な戦争の被害を語り継いでいきたい」と話していました。

 04年の遺骨発掘の時、私は小学2年生でした。原爆は過去のことではないのです。宮崎さんからは「まだ遺骨が眠っているかもしれない」と聞きました。早く家族に会わせてあげたいと思います。(高1・木村友美)

(2012年11月19日朝刊掲載)

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