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ジュニアライター発信

あじさいの会 原爆絵本を読み聞かせ

 あじさいの会(広島県府中町)は毎年夏に、地元の小学校や図書館で原爆絵本の読み聞かせをしています。

 取り上げるのは、被爆から10年後に白血病で亡(な)くなった少女、佐々木禎子さんを描いた「おりづるの旅」や、原爆の惨状(さんじょう)を伝える「ひろしまのピカ」などです。子どもたちは、真剣(しんけん)な表情で聞いてくれます。

 「自分が禎子さんと同じような病気になったらどう思う?」。読み聞かせの後で、そう呼(よ)び掛(か)け、原爆や戦争について自分なりに捉(とら)えてもらうようにするなど、工夫をしています。

 会の発起人、恵村(えむら)栄子さん(65)=府中町=は今年、府中町立図書館で、原爆で亡くなった人の遺品(いひん)に焦点(しょうてん)を当てた「さがしています」を選び、読み聞かせをしました。「ほんとうに とじこめなきゃならないのは ウランじゃないか」。鍵束(かぎたば)の写真と一緒(いっしょ)に出てくる、この言葉を子どもたちに最も伝えたかったそうです。ウランは広島に投下された原爆の材料として使われました。

 原爆絵本の読み聞かせは、会を設立した1980年から続けています。現在、30~60歳代の8人が活動。ベトナム戦争で米軍が使った枯(か)れ葉剤(はざい)や、環境破壊(かんきょうはかい)など、社会問題についての絵本を取り上げることもあります。

 「絵本をきっかけに視野(しや)を広げて、正しい判断ができる大人になってほしい」と恵村さん。絵本は難しい問題を分かりやすく私たちに教えてくれます。(高2・寺西紗綾、写真も)

(2013年10月14日朝刊掲載)

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