×

ジュニアライター発信

HOPEプロジェクト 被爆ピアノ貸し出す

 HOPEプロジェクト(広島市佐伯区)は、被爆ピアノを貸し出し、ピアノが被爆した経緯の説明をするとともに、実際に参加者にも弾いてもらっています。

 毎年8月6日には、原爆ドーム前(中区)でコンサートを開催。多くの人に被爆ピアノの音色を届けようと励んでいます。

 ピアノは被爆当時、広島市三滝町(現西区)にあり、爆風で割れたガラスの破片が刺さりました。持ち主の河本明子さんは幟町(現中区)で学徒動員の作業中に被爆。三滝町の自宅まで戻りましたが、翌日亡くなりました。

 近所に住んでいた代表理事の二口(ふたくち)とみえさん(64)が2004年、河本さんの家を取り壊す際に譲り受け、平和に向けた活動を始めました。

 9月に西区で、東日本大震災で津波に流された木を使った「震災バイオリン」とコラボレーションをした際、「東北にもピアノを持ってきて音色を届けてほしい」という依頼を受けました。「ピアノが古くなっていることを考えると大変だが、もっと多くの人々に被爆ピアノについて伝えるため、何とか実現したい」と話します。

 貸し出す際に必要な調律や運搬などの費用は、主催者に出してもらいます。中には、生徒たちが寄付を募ってコンサートを実現させた高校もあります。二口さんは「ピアノももっと音楽を奏でたかったはず。今の平和な世界の中でなら演奏できる。明子さんの思いと一緒に伝え続けていきたい」と語ります。(中3・谷口信乃)

(2013年10月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ